2008年1月20日 (日)

消え行く霧笛・・・

                

2008年3月をもって廃止される犬吠灯台の霧笛

銚子の観光の目玉でもあり、そして貴重な文化的財産でもある犬吠灯台。
これまで百年以上にも渡って海の安全を見守り続けてきた。
電子機器が発展した今では、その機能は新参に譲ってしまったが、観光のため、そして文化的な意味でも貴重な存在のため、改修工事が行われて未来まで残せるようにされてきた。
今でも大きなフレネルレンズを回転させ、夜の海に水平に光線を走らせている。

灯台の光とともに忘れてはならないものが「霧笛」である。
霧が出て視界が悪くなると、特徴的な大音響によって船舶の安全を保ってきた。
犬吠灯台の霧笛は特に深い音色で、風向きによっては街中まで届き、犬吠灯台の存在を市民に伝えてきた。
3年後に100周年を迎えようとしている。
犬吠灯台の霧笛は、その発音体に特徴があり、聞くところによるとこの方式は犬吠灯台だけだそうだ。
犬吠灯台の霧笛の発音方式はこうだ。
まず、コンプレッサーで空気を圧縮してタンクに溜め、その圧力が規定値に達したところで一気に噴出させ、吹き出し口に置かれたフィンを回転させて発音させ、これをユーフォニュームに似たホーンダクトで拡声させて海に音を放つ。 巨大なラッパだ。
大海原に向けて発せられた音は遠く海の向こうからこだまが帰ってくる。 自然を相手にした音響大実験場がそこに存在している。
音は太く、深く、もうこの先には陸地がない、地の果ての哀愁のようなものを痛く醸し出している。
それが、あと3年で100歳になるという、今年2008年に廃止されると言う。
なぜなのか?

先ほども述べたように、近年の電子機器の目覚しい発達で、灯台そのものが形骸化してきており、実際には光も音も必要がなくなってしまったらしい。
つまり船舶に詰まれた小型で高性能なGPSなどが有効になった今日、ローテクの出番はなくなってしまったのだ。 灯台も隣に立っている電波灯台が実際には運用の中心になっていて、言わば「飾り」になっているのだ。 

犬吠の場合、これを残すように嘆願する動きもあるのだが、全国的な廃止の波を受けて一緒に廃止されることになった。

文化的な財産を残したい・・・
私もそう願ううちの一人である。
実は最近、霧笛の音でサーチされてこられる方が増えた。
私はバイノーラル録音による霧笛の音を別館「音の出る写真帳」で公開していて、それがヒットしているのだが、無くなると思うとちゃんとした形で残したいという思いに駆られる。
ただ、霧が出るのは初夏のころからで、廃止される3月までに録音できることは絶望状態である。
幸い、地元の方から声がかかり、2007年のクリスマスイブに霧笛を鳴らすイベントがあることを知り、これを録音する機会が得られた。 灯台に関する文化財保護に努力をされている皆さんと、灯台を管理する海上保安庁の皆さんに御礼が言いたい。

さて、音のサンプルをこの場に公開することにします。
このサンプルはデジタルレコーダーを使って、24bit/96KHzでバイノーラル録音したものです。それをMP3に直しました。
30秒間に1回約5秒の発音で、このファイルは灯台がそびえる崖の下で海の波の音をバランスさせながら録音したものです。
犬吠灯台の霧笛をMP3で聴く 2007年12月 (4197.5K)
次にお聴きいただくのは、実は私の父が昭和41年3月20日(1966年)に録音したもので、きわめて貴重なものです。 当時のオープンリールのデンスケで録音しており、若干ワウ・フラッターがあるが、当時の音を知ることができる貴重品です。
当時はホーンもかなり大きく、発音体も違っていたようで、今のものよりも1オクターブ近く音が低いことが伺えます。
昭和41年当時の犬吠灯台の霧笛 1966年3月20日 (1863.3K)


2008年2月2日 追加情報

霧笛自体の廃止は3月31日なのですが、実際に解体されるのはしばらく先と言う事で、少しほっとしていたのですが、一部からの圧力で撤去が早まってしまいそうです。 しかも、この圧力が地元からのものであり、観光に関係したところからであることに衝撃を覚えます。

      
      3月31日に霧笛が廃止される前日に、銚子市市民センターホールにてイベントが開催されます。
      どうぞお越しください。

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